このページの要点
- 申出は誤出力、入力データの流出の疑い、外部AIの停止、権利侵害の申立て、開示・削除の請求の五類型。受付の窓口と記録の項目を先に決める。
- 誤出力は、サービスが何を約束していたかから確かめる(民法415条)。消費者との契約では、責任の全部を免除する条項は無効(消費者契約法8条1項1号)。
- 入力データの流出は、個人データの漏えい等にあたるかを早く判断する。報告・通知は規則で定める四つの事態が対象(個人情報保護法26条、施行規則7条・8条)。
- 権利侵害の申立ては、対象と権利の内容の特定から始める(著作権法112条1項)。開示・削除の請求は、提供者が保有個人データの権限を持つか確かめる(個人情報保護法16条4項・33条〜35条)。
結論:申出を五つの類型に分け、「契約の位置づけ→記録→規約の条文」の順で確かめてから答える
生成AIのサービスを提供していると、利用者から次のような連絡を受けることがあります。「AIの回答を信じて損をした」「入力した情報が他の人に出たのではないか」「外部のAIが止まって仕事にならなかった」「生成された画像や文章が自分の作品に似ている」「自分のデータを見せてほしい、消してほしい」。どれも、最初の返信で言い方を誤ると、事実の確認が終わる前に責任を認めたことになったり、反対に、取り合わない態度に見えて話が大きくなったりします。
このページは、AIサービスで寄せられやすい申出を五つの類型に分け、類型ごとに何から確認するかを整理します。条文と一般的な実務にもとづく解説で、特定の事案への当てはめではありません。実際の対応では、サービスの仕組み、契約の相手が消費者か事業者か、外部の事業者との契約の内容によって、結論が変わります。規約の条文そのものの書き方は、個人向けと法人向けの違いを個人向けと法人向けでAIサービスの規約はどこが変わるかで、外部の事業者への依存を外部のAIモデル・APIに依存するサービスの規約で扱っています。ここでは、申出を受けたあとの確認の順序に絞ります。
結論を先に並べます。
- 最初に、申出がどの類型かを決める。誤出力、入力データ、外部AIの停止、権利侵害の申立て、開示・削除の請求。類型ごとに、見るべき書類と条文が違う。
- 返信の前に、記録を取る。日時、画面、入力と出力、利用者のアカウント、契約のプラン。後から事実を固められるように、先に残す。
- 誤出力は、サービスが何を約束していたかから確かめる。「保証しない」と書いてあっても、提供者が約束した機能の不具合は債務不履行の問題になり得る(民法415条)。
- 入力データの流出が疑われたら、個人データの漏えい等にあたるかを早く判断する。個人情報保護委員会への報告と本人への通知の要否は、規則で定める事態に当たるかで決まる(個人情報保護法26条、施行規則7条・8条)。
- 開示・削除の請求は、誰が誰に求めているかを確かめる。利用者が法人で、会話の相手の個人情報を扱う場合は、請求の宛先が変わることがある。
申出を受けたときに、最初に記録するもの
- 申出の日時、連絡の手段、申出人の名前とアカウント(利用者本人か、第三者か)
- 問題が起きたとされる日時、画面、入力した内容、出力された内容(利用者から提供を受ける)
- 利用者の契約のプラン(有料か無料か)、契約の相手(個人か法人か)、契約時に同意した規約の版
- サービス側の記録(アクセスの記録、処理の記録、外部のAIへの送信の記録、障害の記録)
- 外部のAIサービスなど、関係する外部の事業者と、その利用条件
申出の五類型と、最初に確かめる書類
寄せられる申出は多様ですが、確認の入口は五つにまとまります。表で全体を見渡し、そのあと類型ごとに掘り下げます。
申出の類型と、最初に確かめるもの
| 類型 | 典型の申出 | 最初に確かめるもの | 関係する条文 |
|---|---|---|---|
| 誤出力 | AIの回答や生成物が誤っていて、損害が出た | サービスの機能説明、規約の免責・責任の上限、利用者の確認の状況 | 民法415条、消費者契約法8条 |
| 入力データの流出の疑い | 入力した情報が他の人に出た、外部に渡った、学習に使われた | 「学習に使わない」の約束、保存とアクセスの記録、外部のAIへの送信の有無 | 個人情報保護法23条・26条 |
| 外部AIの停止 | 外部のAIが止まり、サービスが使えなかった | 規約の中断・停止の条文、通知の実績、外部事業者の障害情報 | 民法415条、消費者契約法8条、民法548条の4 |
| 権利侵害の申立て | 生成物が自分の著作物や肖像・声に似ている、権利を侵害している | 禁止事項、削除・停止の権限、生成の記録、利用者の入力 | 著作権法112条 |
| 開示・削除の請求 | 自分の個人データを開示してほしい、消してほしい | 請求者が本人か、提供者が開示等の権限を持つか、保存の場所 | 個人情報保護法33条〜35条 |
どの類型でも、受付の窓口を一つにし、手順を決めておくと、最初の対応がぶれません。窓口が複数あると、同じ利用者に別々の担当者が別々のことを答えてしまい、あとで「最初はこう言われた」という食い違いが生じます。
申出を受けたときの基本の流れ
- 1. 受付と記録申出の内容、日時、連絡手段を記録する。受け取ったことを、事実の確認を約束しない形で伝える。
- 2. 類型の判別五類型のどれにあたるかを決める。複数にまたがるときは、緊急度の高いもの(データの流出など)を先に扱う。
- 3. 事実の確認サービス側の記録を確認し、利用者から必要な情報の提供を受ける。外部の事業者の側の状況も確かめる。
- 4. 契約と条文の確認契約の相手が消費者か事業者か、規約のどの条文が関係するかを確かめる。
- 5. 一次回答確認できた事実と、今後の対応の見通しを伝える。責任の有無の判断は、確認が終わってから伝える。
- 6. 必要な報告と措置漏えい等にあたる場合の報告・通知、サービスの修正、再発防止を行う。
一次回答では、確認できていないことを断定しない。「確認中の事項」と「確認できた事項」を分けて書く。
誤出力:「AIの回答で損をした」と言われたとき
生成AIの出力は、同じ入力でも毎回同じになるとは限らず、誤りを含むことがあります。多くの規約が、出力の正確性や有用性を保証しない旨と、最終的な判断は利用者が行う旨を書くのはそのためです。それでも、誤出力で損害を受けたという申出は起きます。このとき、「規約に保証しないと書いてある」で止めず、次の順に確認します。
誤出力の申出で、確認する順序
- 1. 契約の相手は消費者か事業者か消費者契約法の「消費者」は、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合を除く)です(同法2条1項)。法人専用のサービスでも、申込者の実態が個人であれば、消費者契約として扱われ得ます。
- 2. サービスは何を約束していたか機能の説明、画面の表示、広告の表示で、どんな結果を約束していたかを確かめる。AIの出力そのものは約束していなくても、特定の機能(計算、翻訳、形式の変換など)の約束があれば、その不具合が債務不履行の問題になり得る。
- 3. 利用者の確認の機会があったか出力に注意書きがあったか、確認を促す仕組みがあったか。最終判断を利用者に委ねていることが、利用の現場で示されていたか。
- 4. 免責・責任の上限の条文は有効か消費者契約では、債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項は無効です(消費者契約法8条1項1号)。故意又は重大な過失による責任の一部を免除する条項も無効です(同項2号)。責任の上限を置く場合は、この境界を見る。
- 5. 損害と因果関係主張される損害が、出力とどう結びつくのか。利用者が別の情報で確認すれば避けられたか。債務不履行による損害賠償は、債務の本旨に従った履行がされず、帰責事由がある場合に問題となる(民法415条)。
順序が大切なのは、規約の免責条項だけで結論を出さず、サービスが何を約束していたかから確かめるため。
ポイントは、「出力が誤っていた」ことと「債務不履行がある」ことは別という点です。サービスが「情報の提案」を約束しているなら、提案の内容が誤っていたこと自体は、約束した内容の不履行にあたらない場合があります。一方、サービスが「入力された数値の計算結果の表示」を約束しているのに、計算が誤っていれば、約束した内容の不履行が問われ得ます。どちらにあたるかは、機能の説明の書き方で変わります。規約の免責の条文と、画面や説明書の機能の書き方が食い違っていると、利用者は画面の説明を信じて利用するため、条文の効力が争われる原因になります。
書き方の例(一般的な例) 誤出力の免責の書き方
免責の範囲
理由全部免除の条項は、消費者契約では無効となる(消費者契約法8条1項1号)。故意・重大な過失の例外を置くのが基本。
利用者の確認
理由条文と画面の表示が一致しているほうが、確認の機会があったことを示しやすい。
責任の上限
理由上限の算定方式を明記し、例外を置く。消費者契約への適用は、別に検討する。
一次回答では、責任を認めるかどうかを書かず、「申出の内容を確認します」「事実関係を確認します」と、確認の段階であることを伝えます。そのうえで、再現できるか、同じ入力で同じ結果が出るかを確かめ、サービス側に不具合があるかを調べます。不具合が見つかった場合は、修正と利用者への連絡を先に行い、損害の賠償の有無は、契約と条文を確かめてから伝えます。
入力データが漏れたのでは:確認の順序と、報告・通知の判断
「入力した情報が他の人に出た」「入れた情報が外部に渡って学習に使われたのでは」という申出は、利用者の信頼に直結します。申出の内容は、少なくとも四つに分かれます。ほかの利用者の画面や出力に、自分の入力が表示された。外部のAIの事業者に送られた情報が、そちらで学習に使われた。サービスへの不正なアクセスで、保存されたデータが取り出された。サービスの運営側の誤操作で、データが他の人に見える状態になった。どれにあたるかで、確認する先が変わります。
確認の問いと理由入力データの流出の申出で、確認する問い
規約やプライバシーポリシーは、入力データの扱いをどう約束しているか。
「学習に使わない」と約束しているのに使っていれば約束違反。約束していなくても、利用目的の通知や公表と合っているかを確かめる。
サービスの仕組みの上で、他の利用者の画面に出る経路があるか。
利用者ごとにデータが分離されているか、共有の仕組み(共有リンク、履歴の共有)があるかを、設計から確かめる。
外部のAIに送られる情報と、外部事業者側の取扱いは何か。
外部の事業者の利用条件と設定(学習への利用の有無、保存の期間)を、原文で確認する。規約の「外部へ送らない」といった記載と、実際の動作が一致しているかも見る。
保存とアクセスの記録は、どこまで残っているか。
記録がないと、起きたかどうかを確かめられない。記録の保存期間も確認する。
個人データの漏えい等にあたるか。
あたる場合は、委員会への報告と本人への通知を検討する。委託を受けて取り扱っている場合は、委託元への連絡も要る。
個人データの漏えい、滅失、毀損その他の安全の確保に係る事態のうち、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会への報告が義務づけられます(個人情報保護法26条1項)。本人への通知も原則として必要です(同条2項)。規則で定める事態は、要配慮個人情報が含まれる個人データの漏えい等、不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等、不正の目的をもって行われたおそれがある漏えい等、本人の数が千人を超える漏えい等の四つで、いずれも「発生したおそれがある事態」を含みます(個人情報の保護に関する法律施行規則7条)。報告は、事態を知った後、速やかに行い、あわせて知った日から30日以内(不正の目的によるおそれがある事態では60日以内)に、規則で定める事項を報告します(同規則8条)。
委託を受けて個人データを取り扱っている提供者が、委託元へ規則の定めに従って通知したときは、委員会への報告は不要とされています(法26条1項ただし書)。法人向けに提供するサービスで、利用者が会話の相手などの個人データを入力している場合、提供者は利用者から委託を受けた立場になることがあります。その場合の連絡先は、委員会ではなく、まず利用者です。契約には、事故が起きたとき速やかに通知する旨と、通知の窓口を書いておきます。
安全管理の措置を講じる義務(法23条)は、事故のあとにも問われます。事故の原因を調べ、再発の防止のために講じた措置を記録に残すと、利用者への説明にも、委員会への報告にも使えます。事故でないと分かった場合も、確認した経過を残しておくと、同じ申出がまた来たときに対応が早くなります。
外部AIの停止で使えない期間:通知、補償、規約の免責の使い方
外部のAIモデルに依存するサービスでは、外部の障害や仕様変更が、そのままサービスの停止や出力の変化として現れます。規約には、外部サービスの停止、仕様変更、終了による損害について免責を書くのが一般的です。ところが、免責の条文があっても、利用者への通知を怠った、障害の状況を伝えなかった、長期の停止に何の対応もしなかったという事情があると、利用者の不満は条文では収まりません。
外部AIの停止・変更の場面と、利用者への対応の選択肢
| 状況 | 利用者への連絡 | 補償・対応の選択肢 |
|---|---|---|
| 短時間の停止 | 障害の状況を知らせるページで、復旧の見込みを随時知らせる | 補償は規約で決めた範囲。通常は、復旧後の連絡で足りる |
| 長期の停止 | 停止の理由、復旧の見込み、代替の手段を個別に連絡する | 利用期間の延長、料金の按分、一部の返金を検討する |
| 外部サービスの終了 | 終了の事実と、サービスの継続の可否を早い段階で知らせる | 代替の手段への移行、残りの期間の返金、データの取り出しの機会 |
| モデルの切り替えで出力が変わった | 変更の事実と、出力への影響を知らせる | 利用者が結果を確認できる期間を設ける。必要に応じて、旧設定の提供や返金を検討する |
規約の免責の条文は、通知と補償の仕組みとセットで使います。通知の方法(画面、メール、障害情報のページ)、通知の時期(停止の前か後か)、補償の選択肢(延長、按分、返金)を規約か運用の方針に書いておくと、個別の申出に対して、一貫した対応ができます。消費者との契約では、事業者の債務不履行による責任の全部を免除する条項は無効です(消費者契約法8条1項1号)。外部の事由による場合でも、免責の範囲を広く書きすぎると、この規定の問題になります。
外部の仕様変更や終了が原因でサービスの内容を変える場合、規約の変更の手続も関係します。定型約款の変更は、相手方の一般の利益に適合するとき、または契約をした目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更の定めの有無と内容などに照らして合理的なときに、個別の合意なしにできます。その場合は、効力発生時期を定め、変更する旨と変更後の内容と効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法で周知する必要があります(民法548条の4第1項・第2項)。外部の停止に伴う返金や、クレジットの扱いはAIサービスの課金設計と規約で扱っています。
権利侵害の申立て:著作権・肖像・声を理由とする連絡の受け方
「生成された画像が自分の作品に似ている」「自分の声に似た音声がつくられている」といった申立ては、受け取った時点で、権利の有無や侵害の成否を判断するのが難しい場合がほとんどです。提供者が最初にすべきことは、結論を出すことではなく、申立ての中身を特定することです。
- 誰が、何の権利を主張しているか。著作権、肖像、声、商標、その他。権利を持つ人かどうかを、申立人に説明してもらう。
- どの生成物が対象か。日時、アカウント、生成物のID、公開されている場所。対象を特定できなければ、対応できない。
- 何を求めているか。削除、利用の停止、公開の中止、謝罪、金銭など。
- 利用者に連絡できるか。生成物を利用している人に、申立ての事実を知らせて、反論の機会を与える。
- 一時的な措置が要るか。対象の非表示や、停止の措置。規約に、削除や停止を行う権限が書かれているかを確かめる。
著作者や著作権者は、著作権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対して、その侵害の停止または予防を請求できます(著作権法112条1項)。生成物が既存の著作物に類似しているかどうか、依拠があるかどうかは、個別の判断になり、一般論で結論を出すことはできません。提供者が責任を問われるかどうかも、サービスの仕組みと、提供者の関与の度合いで異なります。そのため、規約には、生成物の利用について第三者の権利を侵害しないように利用者が注意すること、第三者から申立てがあった場合は提供者が必要な措置(削除、停止)を取れること、利用者が申立てへの対応に協力することを書きます。
肖像や声に関する申立ても、同じ受付の窓口で扱います。申立人が誰の何について主張しているのか、生成の元になった入力に本人の画像や音声が使われていたか、利用者が本人の同意を得ていたか、を確かめるところから始めます。判断は個別事情によるため、受付では「確認します」にとどめ、確認が終わるまで評価を述べません。
書き方の例(一般的な例) 申立てへの対応の条文
措置の権限
理由措置の根拠と、措置の期間を明記しておくと、運用の説明がしやすい。
利用者の協力
理由利用者が責任を負う範囲と、例外を明記する。
開示・削除の請求:個人情報保護法の請求と、規約上の削除依頼の違い
利用者や、利用者の入力の中に登場する人から、「自分の個人データを見せてほしい」「消してほしい」という請求を受けることがあります。この請求には、二つの性質があります。一つは、個人情報保護法にもとづく請求です。本人は、個人情報取扱事業者に対して、本人が識別される保有個人データの開示を請求できます(個人情報保護法33条1項)。内容が事実でないときは、訂正、追加、削除を請求できます(34条1項)。法に違反して取り扱われているときは、利用停止または消去を請求できます(35条1項)。もう一つは、契約上の依頼です。利用者がサービスの解約に伴って、自分のデータの削除を求める場合は、規約の定めによります。
前者の請求で最初に確かめるのは、提供者が「保有個人データ」を持っているかです。保有個人データとは、個人情報取扱事業者が、開示、訂正等、利用の停止、消去、第三者への提供の停止を行う権限を有する個人データです(同法16条4項)。法人向けのサービスで、利用者が会話の相手などの個人データを入力している場合、提供者は利用者から取扱いを委託されているだけで、開示等の権限を持たないことがあります。その場合は、請求者に、利用者への請求を案内する対応になります。どちらの立場かは、契約の定めと、データの実際の管理の状況で決まります。
開示・削除の請求への対応の流れ
- 1. 請求者の確認請求者が本人であることを確認する。本人確認の方法は、運用で決めて、過度な負担にならないものにする。
- 2. 対象データの特定請求者のどのデータを、どこに保存しているかを調べる。バックアップや外部の事業者の側に残るデータも含む。
- 3. 立場の確認提供者が開示等の権限を持つ事業者か、委託を受けた立場かを確かめる。委託を受けた立場なら、請求者に利用者への請求を案内する。
- 4. 開示・訂正・削除の実施開示の方法は、電磁的記録の提供など、規則で定める方法による。遅滞なく対応し、開示しない場合や、存在しない場合は、その旨を遅滞なく通知する(法33条)。
- 5. 手数料と記録手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的な範囲で定める(法38条)。対応の記録を残す。
苦情の適切かつ迅速な処理に努め、そのための体制の整備に努める義務もある(法40条)。
削除では、バックアップや、学習に使われたデータの扱いが論点になります。バックアップに残るデータは、いつまでに消えるのかを、規約かプライバシーポリシーで説明しておきます。学習済みのモデルに取り込まれたデータは、技術的にモデルから取り出して消すことが難しい場合があります。その場合は、そもそも学習に使うのか、使う場合はどんな同意を得ているのか、使わないと約束しているのか、を整理し、請求への回答でも事実に即して説明します。「削除した」と言えないのに、削除したと回答すると、あとで虚偽の説明と受け取られます。
起きがちなこと:申出の場面で現れる食い違い
場面ごとの、起きがちなことと先に決めておくこと
最初の返信で、責任はないと断定した
起きがちなこと事実の確認が終わる前に責任を否定したため、後から不具合が見つかって、対応の信頼性が疑われた。
先に決めておくこと一次回答は「確認します」にとどめる。責任の判断は、契約と事実を確認してから伝える。
規約に「保証しない」と書いてあるから、と対応を打ち切った
起きがちなこと画面の説明では特定の結果を約束するかのような表示になっており、約束した機能の不具合と受け取られた。
先に決めておくこと機能の説明の書き方と、規約の免責の条文を一致させる。
入力データの流出の申出を、問い合わせの一つとして処理した
起きがちなこと個人データの漏えい等にあたる可能性の検討が遅れ、報告・通知の時期を逃した。
先に決めておくこと入力データの申出は、類型を判別する段階で緊急度を高く扱う。報告・通知の要否を早く判断する。
外部AIの停止について、利用者に何も連絡しなかった
起きがちなこと規約の免責はあったが、通知がなく、利用者の不満が大きくなった。
先に決めておくこと通知の方法と時期、補償の選択肢を、規約か運用の方針に書く。
開示の請求に、提供者が「保有個人データはない」と答えた
起きがちなこと実際には、バックアップや外部の事業者の側に請求者のデータが残っていた。
先に決めておくこと対象データの所在を事前に整理し、請求を受けたら調べる範囲を決めておく。
陥りがちな点
- 申出の窓口が複数あり、担当者によって答えが違う
- 申出の記録(日時、画面、アカウント、契約のプラン)を残していない
- 規約の免責の条文だけで、責任の有無を結論づけている
- 規約の記載(外部へ送らない、学習に使わない)が、実際の動作と合っていない
- 個人データの漏えい等の判断基準を、事前に決めていない
- 外部AIの停止時の通知と補償の方針がない
- 削除の請求に対して、バックアップや外部の事業者の側のデータを把握していない
AIサービスの申出対応は、条文の上手な書き方よりも、受け付けたあとの確認の順序で決まります。類型を判別し、記録を取り、契約と事実を確かめてから答える。この流れを手順として決めておくことが、規約に書いた免責や約束を、実際に使える形にします。全体の書類の組み立ては生成AIサービスの契約と規約の全体像で整理しています。
よくあるご質問
AIの回答が間違っていたと言われたとき、規約に「保証しない」と書いてあれば責任は負いませんか。
規約の記載だけで結論は出ません。サービスが何を約束していたか、出力が約束した機能の不履行にあたるかを先に確かめます。消費者との契約では、債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項は無効で(消費者契約法8条1項1号)、故意又は重大な過失による責任の一部を免除する条項も無効です(同項2号)。個別の事案への当てはめは、契約の内容と事実で変わります。
入力した情報が他の人に出たと言われたら、まず何をしますか。
記録を残し、サービスの仕組みから他の利用者に出る経路があるかを確かめます。同時に、規約で「学習に使わない」と約束していないか、外部のAIに送られる情報の範囲はどうかを確認します。個人データの漏えい等にあたり、要配慮個人情報を含むなど規則で定める事態に該当するなら、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要です(個人情報保護法26条、施行規則7条・8条)。
外部のAIが止まって、利用者が使えなかった期間の料金は返す必要がありますか。
返す義務があるかどうかは、規約の定めと、停止の期間・原因・通知の状況で変わります。規約に免責があっても、消費者との契約では全部免責は無効となる場合があります。長期の停止では、利用期間の延長、料金の按分、返金などの選択肢を、あらかじめ運用の方針に書いておくと対応が一貫します。
生成された画像が自分の作品に似ていると、第三者から連絡が来ました。どう受ければよいですか。
最初に、誰がどの権利を主張しているか、どの生成物が対象かを特定します。著作者等は、著作権を侵害する者または侵害するおそれがある者に、停止や予防を請求できます(著作権法112条1項)。侵害の成否の判断は個別に行うので、受付では結論を述べず、規約に定めた措置(非表示、停止)の権限の範囲で、一時的な対応を取ります。
利用者から「自分のデータを消してほしい」と言われました。すぐに消せばよいですか。
請求者が本人か、提供者が開示等の権限を持つ立場かを確認します。本人が保有個人データの利用停止または消去を請求できるのは、法に違反して取り扱われている場合などです(個人情報保護法35条1項)。契約の終了に伴う削除は、規約の定めによります。バックアップや、外部の事業者の側に残るデータは、いつ消えるのかを説明できるようにしておきます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、サービスの仕組みや契約の内容によって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 個人情報保護委員会 / 消費者庁 / 経済産業省 / 総務省 / 内閣府