このページの要点
- 書類は五つの類型で考える:個人向けの利用規約、法人向けの規約と申込書、サービス提供契約、開発の委託契約、導入研修・導入支援の基本契約と個別契約。
- 規約と個別の書面が併存するなら、優先の向きと、定めのない事項の補い方を書面に明記する。規約の変更は民法548条の4の周知の手順を決めておく。
- 入力データ・生成物・外部のAIは、実際の仕組みの図と照合して、規約・プライバシーポリシー・画面の説明に同じ事実で書く。
- 特商法の表記は、申込者が事業者か個人かで要否が変わる。個人情報の公表は、法人向けでも担当者の連絡先などで要る場面がある。
結論:書類は一つとは限らない。類型を決め、優先関係を書き、三つの要素の置き場所を決める
生成AIを使ったサービスを出すとき、最初に迷うのは「利用規約を一本作れば足りるのか」という点です。答えは事業の形で変わります。画面から個人が申し込むサービスなら、利用規約(運営者があらかじめ用意し、多数の利用者に画一的に当てはめる条項のまとまり)が中心になります。法人と条件を詰めて契約するなら、申込書やサービス提供契約が加わります。AIの研修や導入の支援を請け負うなら基本契約と個別契約、AIを使ったシステムの開発を請け負うなら開発の委託契約が必要です。
書類の数が増えるほど、効いてくる問いが二つあります。書類どうしが食い違ったときにどれが優先するのか。そして、生成AIに特有の三つの要素、すなわち利用者が入力するデータ、AIが出力する生成物、サービスの裏側で使われる外部のAIを、どの書類のどこで約束するのか。この二つが決まっていないと、条文を一つずつ整えても、書類全体としては穴が残ります。
- 類型は五つに分けて考える:個人向けの利用規約、法人向けの規約と申込書、サービス提供契約、開発の委託契約、導入研修・導入支援の基本契約と個別契約。
- 規約と個別の契約書や申込書が併存するなら、どれが優先するのか、定めのない事項はどちらで補うのかを、書面に明記する。
- 入力データ・生成物・外部のAIの三要素は、利用者への約束として規約か提供契約に置き、実際の仕組みと一字ずつ照合する。
- 特定商取引法に基づく表記は、申込者が事業者か個人かで要否が変わる。個人情報の取扱いの公表は、法人向けのサービスでも要る場面がある。
- 本ガイドの読み順は、この全体像のあと、自分の事業の形に近いページへ進む。
このページは、書類の地図と優先関係、三要素の置き場所、表示や公表の要否に絞って説明します。個別の条項の深掘りは、各ページに分けています。SaaSやアプリの一般的な利用規約は別のガイドで扱っています。
五つの類型の地図:誰が誰に何を約束する書類か
生成AI関連の取引は、「誰が誰に、何を、どういう形で約束するか」で五つに整理できます。名前が似ていても、法律上の位置づけと、置くべき条項が違います。
生成AIに関わる契約・規約の五つの類型
導入研修・導入支援の基本契約と個別契約
支援する側と受ける側
研修、設定、サポートを継続して提供するための二層の契約。基本契約で共通の条件を、個別契約で人数や時間や料金を決める。
基本契約と個別契約の組み立て一つの事業が複数の類型にまたがることは珍しくありません。たとえば、個人向けのアプリを運営しながら、法人にはサービス提供契約で販売し、導入の支援は別に請け負う、という形です。
類型ごとの法律上の性質を、簡単に確認しておきます。
まず利用規約です。民法548条の2第1項は、不特定多数を相手に画一的な内容で行う取引(定型取引)で、条項のまとまりを契約の内容にする旨の合意をしたとき、またはあらかじめその旨を相手方に表示していたときは、個別の条項にも合意したものとみなす、と定めています。この条項のまとまりを定型約款と呼びます。同条2項は、相手方の権利を制限したり義務を加重したりする条項のうち、信義則(民法1条2項)に反して相手方の利益を一方的に害するものは、合意しなかったものとみなす、と定めます。利用規約は、画面でクリックさせれば何でも有効になるわけではなく、内容の相当性が問われる書類です。
次に、法人向けの規約と申込書です。規約を共通の土台に置くなら、定型約款に当たるかどうかは、取引の態様で変わります。多数の法人に画一的な内容で提供するなら定型取引に当たり得ますし、個別の交渉で条件を詰めるなら当たらない場合があります。当たるかどうか分からないまま、当たる前提で規約の変更手続だけを書いても足りません。どちらの前提でも通用するよう、個別の合意を書面に残す構成が安全です。
サービス提供契約は、ソフトウェアの利用を認める部分と、サポートや運用といった役務を提供する部分が組み合わさる形が一般的です。成果物の完成を約束する請負(民法632条)ではなく、役務の遂行を約束する形に組み立てるのが通常で、法律行為でない事務の委託には準委任(民法656条)の考え方が使われます。準委任には、委任の規定(同法643条・644条)が準用されます。
開発の委託契約と、導入研修・導入支援の基本契約は、請負か準委任かの選択が中心になります。完成した物を引き渡すことを約束するなら請負、一定の作業を行うことを約束するなら準委任です。AIの開発は、精度や性能を完成の条件にするかどうかで性質が変わるため、契約書の中で「何をもって完成とするか」を書くことが重要です。研修や導入支援は、結果を保証しない準委任として組み立てるのが通常です。
規約と個別の契約書の優先関係を、書いておく
一つの取引に、利用規約、申込書、基本契約、個別契約、料金表、プライバシーポリシーといった複数の書類が関わることは珍しくありません。これらの内容が食い違ったとき、どれが優先するのかが書かれていないと、紛争になってから「どの書類が契約の内容か」から争うことになります。
優先関係の書き方には、大きく三つの型があります。
優先関係の三つの型
| 型 | 書き方 | 向く場面 | 注意する点 |
|---|---|---|---|
| 個別優先型 | 個別契約や申込書の定めが、規約・基本契約に優先する。個別に定めのない事項は規約・基本契約で補う。 | 法人向けで、プランや条件を案件ごとに変える場合。基本契約と個別契約の二層の形。 | 個別の書面に、どの条項を上書きするのかが読み取れるように書く。曖昧だと、全体が上書きされたように読まれる。 |
| 規約優先型 | 規約が優先し、申込書は規約の範囲内でのみ有効。 | 個人向けや、条件を画一的に保ちたい場合。 | 申込書に特別な約束を書いても、規約が優先する旨が読めると、約束が無効になる。営業の現場で書かれた特約との衝突に注意。 |
| 特約限定型 | 原則は規約が優先するが、「別段の定めがある旨を明記した個別の書面」だけは優先する。 | 大半は規約どおりで、一部の顧客だけ特別な条件を許す場合。 | 「別段の定め」の範囲を、責任の上限や料金など特定の事項に限定すると、運用が読みやすくなる。 |
どの型を選ぶにしても、避けたい書き方があります。規約には「規約が優先する」、提供契約には「契約書が優先する」と、双方が自分を優先すると書いている場合です。同じ事業者の書類で優先の向きが逆になっていると、読む人は結論を出せません。書類を作る順序を決め、一覧にして、優先関係を横に並べて確認します。
条文例優先関係の条文例(個別優先型)
- 本契約と個別契約の内容が抵触する場合には、当該個別契約が明示的に本契約の特定の条項と異なる定めを置いているときに限り、その範囲で個別契約の定めが優先して適用される。
- 個別契約に定めのない事項については、本契約の定めが適用される。
- 本契約、個別契約および○○(料金表その他の別紙)の間に矛盾があるときは、個別契約、別紙、本契約の順に優先する。ただし、○○に関する条項は、いかなる個別契約によっても変更することができない。
空欄には、書類の名前を入れます。「明示的に」「特定の条項と異なる」といった限定語を入れる理由は、個別の書面に一言あるだけで、基本契約の全体が書き換えられたと読まれることを防ぐためです。
規約を契約の内容にするための見せ方にも、決めておくことがあります。民法548条の2第1項は、定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき、またはあらかじめその旨を相手方に表示していたときに、個別の条項にも合意したものとみなすと定めます。申込みの画面に規約へのリンクを置き、同意の操作を経なければ申込みが完了しない作りにしておけば、合意または事前の表示を後から示しやすくなります。反対に、規約が画面の奥にあり、申込みと結びついていないと、規約が契約の内容かどうか自体が争われます。さらに、548条の3第1項は、定型取引の合意の前、または合意の後相当の期間内に相手方から請求があったときは、遅滞なく相当な方法で定型約款の内容を示すことを求めています。利用者が過去の規約を見せてほしいと求めたとき、いつの時点の規約かを示せるよう、改定履歴を残しておきます。
もう一つ、規約を変更したときに、個別契約の内容がどうなるかも決めておきます。民法548条の4第1項は、定型約款準備者(条項のまとまりを用意した者)が、変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または契約の目的に反せず変更の必要性や内容の相当性などに照らして合理的であるときに、個別の合意なしに契約内容を変更できると定めます。同条2項は、変更の効力発生時期を定め、変更する旨と変更後の内容、効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法で周知することを求め、3項は、このうち契約の目的に反せず合理的であることを理由にする変更(1項2号)について、効力発生時期が来るまでに周知しなければ変更の効力が生じない、と定めています。利用者の一般の利益に適合する変更(1項1号)でも、2項の周知は求められます。
この規定が使えるのは、定型約款に当たる部分です。個別に合意した条件は、規約の変更で動かせると読める書き方にしておくと、変更の場面で揉めます。個別契約で決めた事項は規約変更の対象外とするか、通知の上で変更を認めるかを、書面で選んでおきます。
書き方の例(一般的な例) 優先関係と変更の書き方
優先の向き
理由同じ事業者が出す書類の優先の向きを揃えておくと、紛争の入口で時間を使わずに済むため。
規約変更の効力
理由合理性を理由にする変更は、周知を欠くと効力が生じないとされているため、条文と運用の双方で手順を決めておく必要がある。
生成AIに特有の三要素:入力データ、生成物、外部のAI
生成AIのサービスが、一般のソフトウェアの契約と大きく違うのは、三つの要素があるためです。利用者が入れるデータ(入力データ)、AIが返す内容(生成物)、そして、サービスの裏側で動く外部のAIモデルやAPI(外部のAI)です。この三つを、どの書類にどう書くかを整理しておきます。
三要素と、置き場所の目安
| 要素 | 決めること | 置き場所の目安 | 詳しく扱うページ |
|---|---|---|---|
| 入力データ | 利用者が入力してよい内容の範囲、権限の保証、保存と削除、学習への利用の有無、委託・第三者提供・外国への提供。 | 規約か提供契約の本体と、プライバシーポリシー。 | 録音・会話データは録音・通話AIのページ。 |
| 生成物 | 権利の帰属または利用の許諾、第三者の権利を侵害しないことの保証の有無、同じ出力が他の利用者にも出る可能性、正確性の免責。 | 規約か提供契約の本体。 | 免責の差は個人向けと法人向けのページ。 |
| 外部のAI | 外部の事業者の規約の引継ぎ、停止・変更の免責と通知・返金、外部へ送信される情報の範囲、事実との一致。 | 規約か提供契約の本体と、プライバシーポリシー。 | 外部AI依存のページ。 |
入力データについては、利用者が入力する内容に、第三者の個人情報や秘密情報が含まれることを前提に考えます。利用者に権限の保証を求めること、提供者がそのデータを学習に使うかどうかを書くこと、提供者がデータの処理を外部の事業者に委託する場合の位置づけを書くことが、典型的な論点です。個人データの取扱いを委託する場合、委託先は個人情報保護法27条5項1号により第三者に当たらないものとされ、委託元には25条による委託先の監督義務があります。外国にある事業者へ個人データを提供する場合は、28条の規律を確認します。
生成物については、権利の問題と責任の問題を分けます。著作権法2条1項1号は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定めています。AIが出力した内容が著作物に当たるかどうかは、個別の事情で変わり、規約で決められることではありません。規約で書けるのは、提供者が生成物の権利を主張しない、利用者は生成物を利用できる、といった当事者間の取り決めと、提供者が権利の発生や独自性を保証しないことです。同じ入力から似た出力が他の利用者にも返り得ることも、利用者に伝えておく事項です。
外部のAIについては、事実と規約の記載が合っていることが何より重要です。外部のAIに入力が送られる構成なのに、外部との通信は発生しないと読める記載を置くと、利用者に誤解を与えます。外部の事業者がサービスを止めたり仕様を変えたりしたときの扱い、外部の事業者の利用規約の内容を利用者にどこまで引き継ぐかは、外部のAIに依存するサービスの規約のページで扱います。
三要素に共通するのは、利用者が入力できる内容の範囲を、規約で先に決めておくことです。他人の個人情報、守秘義務のある情報、公表前の情報、第三者の著作物などを、権限なく入力しないこと。これを禁止事項と利用者の保証の両方で書いておくと、入力データに関する責任の分担がはっきりします。同時に、提供者側でも、入力された内容が外部のAIへ送られる以上、利用者の画面の近くに、入力してはならない内容の注意を表示しておくと、規約の記載が画面でも裏づけられます。
確認の問いと理由三要素を書類に置く前の問い
入力された内容は、サービスの提供以外の目的に使うか。
学習や品質向上に使う余地を残すなら、その旨を規約に書き、利用者に選択の余地を与えるかどうかも決める。何も書かないと、使わない約束をしたと読まれる場合がある。
生成物を利用者が自由に使えると言い切れるか。
外部のAIの利用規約が生成物の用途を制限している場合、利用者への約束と食い違う。外部の条件を確認してから約束の範囲を決める。
入力が外部へ送られる経路を、説明できるか。
規約・プライバシーポリシー・画面の説明のすべてで、同じ事実を同じ言葉で書くために、先に経路を図にしておく。
利用者が法人の場合、その担当者の個人情報も取り扱うか。
アカウント情報や連絡先も個人情報に当たる。法人向けでも、取扱いの公表が要る場面がある。
特定商取引法に基づく表記と、個人情報の公表:誰向けのサービスかで要否が変わる
規約や契約書の周辺にある、表示・公表の書類も整理しておきます。
まず特定商取引法に基づく表記です。特定商取引法11条は、通信販売で役務の提供条件について広告をするとき、対価、支払の時期と方法、役務の提供時期、申込みの撤回・解除に関する事項などを表示することを求めています。インターネット上で申込みを受け付ける有料のAIサービスは、通信販売に当たり得ます。申込みの最終確認の画面については、12条の6が、役務の分量や対価などを表示することを求め、申込みになることについて人を誤認させる表示を禁じています。
ただし、26条1項1号は、申込みをした者が営業のために、または営業として契約を結ぶ場合は、通信販売の規定を適用しないと定めています。法人や事業者だけを相手にするサービスで、実際に事業者だけが申し込むのであれば、この適用除外に入る余地があります。一方で、個人が申し込める画面を開いたままなら、個人の消費者として申し込む人が出ることを前提に考えます。
次に、個人情報の取扱いの公表です。個人情報保護法21条1項は、個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知または公表することを求めています。同条2項は、契約書その他の書面(電磁的記録を含みます)に記載された本人の個人情報を直接取得する場合は、あらかじめ利用目的を明示することを求めています。入力フォームでアカウント情報を取得する画面は、この場面です。公表の形として、プライバシーポリシーを用意するのが一般的です。
類型ごとの表示・公表の目安
| 類型 | 特商法表記 | 個人情報の公表 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 個人向けの利用規約 | 個人が申し込めるなら、原則として必要。 | 必要。 | 申込みの最終確認画面の表示(12条の6)も確認する。 |
| 法人向けの規約と申込書 | 事業者のみが申し込む実態なら、適用除外(26条1項1号)に入る余地がある。 | 担当者の連絡先などを取得するなら、公表または明示が要る。 | 個人事業主が申し込める入口の有無を確認する。 |
| サービス提供契約 | 事業者間なら、通常は適用除外の整理になる。 | 契約書内の条項で足りる場合もあるが、取得・委託・提供の実態に合わせる。 | 会話の相手など、利用者以外の個人情報を扱うなら、公表の範囲が広がる。 |
| 開発の委託契約・導入支援の基本契約 | 事業者間の契約で、通常は対象外。 | 提供を受けるデータに個人情報が含まれるなら、取扱いの定めを契約に置く。 | 詳細はデータの約束のページ。 |
このほか、AI推進法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)についても、位置づけを整理しておきます。同法2条は人工知能関連技術を定義し、7条は、AIを活用した製品やサービスの開発・提供をしようとする者などを「活用事業者」とし、国や地方公共団体の施策への協力を求めています。契約書や規約に書くべき条項を直接定める法律ではないため、契約書への反映の仕方はAI推進法・ガイドラインのページで扱います。
このガイドの読み順:事業の形から入る
全体像を読んだあとの進み方を、事業の形ごとに示します。
事業の形から、読むページを選ぶ
- 個人にも法人にも売っている個人向けと法人向けで規約はどこが変わるかから始めます。消費者契約法の適用、責任の上限、返金、自動更新を、条項の差分で整理します。
- 録音・会話・通話を扱う録音・文字起こし・要約・通話AIへ。会話の相手の同意、派生データ、保存と削除を、データの流れで書きます。
- 悩みや健康の相談に応じる相談型AIへ。医療ではないこと、緊急時、誤回答、未成年、会話履歴を扱います。
- 課金の単位を決めたい、外部のAIに頼っている課金設計と外部AI依存のページへ進みます。
- 導入支援や開発を請け負う・頼む研修・導入支援、納品物の権利、AI開発・納入の順に読みます。
- トラブルになりそうな場面を知りたいトラブル・FAQで、申出の類型ごとの受け方を確認します。
法令や指針の位置づけを先に知りたい場合は、AI法・指針のページを読みます。
起きがちなこと:書類は揃っているのに、つながっていない
書類の数が多いほど、一つ一つは整っていても、つなぎ目で問題が起きます。典型的な場面を挙げます。
書類のつなぎ目で起きがちな場面
規約と提供契約で責任の上限が違う
起きがちなこと一つのサービスに付く規約と契約書とで、責任の上限の基準が違っている。どちらが適用されるのかが争われる。
先に決めておくこと上限の基準を一つに揃えるか、書類ごとに違う理由と優先の向きを書く。
営業の現場で、書面にない約束をする
起きがちなこと申込書の備考欄や、チャットで「データは学習に使わない」と伝えている。規約には学習への利用の余地が残っている。
先に決めておくこと個別の約束は書面に残し、規約との優先関係を決める。約束できる範囲を関係者で共有しておく。
外部のAIを使っているのに、記載が合わない
起きがちなことサービス説明は外部との通信がないと読めるが、実際は入力が外部へ送られている。
先に決めておくこと経路を図にし、規約・プライバシーポリシー・画面の説明を同じ事実で揃える。
個人事業主が法人向けの画面から申し込む
起きがちなこと「法人専用」と書いてあるが、屋号で申し込む個人が混ざる。返金不可や自動更新が争われる。
先に決めておくこと申込みの入口で事業者かどうかを確認する項目を置き、個人が申し込める場合の条項も用意する。
規約を改定したが、周知が足りない
起きがちなこと変更を掲示しただけで、効力発生時期の前に周知していない。変更の効力が争われる。
先に決めておくこと変更の手順(効力発生時期、周知の方法、期間)を先に決めておく。
契約・規約を整える前の確認リスト
- 事業の形が、五つの類型のどれに当たるか(複数に当たるか)を書き出した。
- 書類の一覧を作り、優先の向きを横に並べて、循環や逆転がないことを確認した。
- 入力データ・生成物・外部のAIの三要素について、実際の仕組みの図と、規約・ポリシー・画面の説明が一致している。
- 申込者に個人が含まれるかを確認し、特商法の表記と個人情報の公表の要否を決めた。
- 規約を変更するときの手順(効力発生時期と周知)と、個別契約との関係を決めた。
よくあるご質問
利用規約とサービス提供契約は、両方必要ですか。
事業の形によります。個人向けや、小口の法人に画面上で申し込んでもらうなら、利用規約と申込みの画面で足りることがあります。大口の法人と個別に条件を詰めるなら、提供契約で責任の上限やデータの返還などを調整します。両方を使うなら、どちらが優先するか、定めのない事項はどちらで補うかを、書面に書いておきます。
規約を一方的に変更することはできますか。
定型約款に当たる規約は、民法548条の4第1項の要件(相手方の一般の利益に適合するとき、または契約の目的に反せず、変更の必要性や内容の相当性などに照らして合理的であるとき)を満たすときに、個別の合意なしに変更できます。その際は、効力発生時期を定めて、変更する旨と変更後の内容、効力発生時期を適切な方法で周知する必要があります。合理性を理由にする変更(同条1項2号)は、効力発生時期までに周知しなければ変更の効力が生じません(同条3項)。
生成物の権利は、規約で利用者に帰属させればよいですか。
生成物が著作物に当たるかどうかは、規約では決められません。規約に書けるのは、提供者が生成物の権利を主張しないこと、利用者が生成物を利用できること、提供者は権利の発生や独自性を保証しないことなどです。外部のAIの利用規約が用途を制限している場合は、利用者への約束と食い違わないかも確認します。
法人向けのサービスでも、特定商取引法に基づく表記は不要ですか。
特定商取引法26条1項1号は、申込みをした者が営業のために、または営業として契約を結ぶ場合を、通信販売の規定の適用除外としています。事業者だけが申し込む実態なら、この除外に入る余地があります。ただし、個人が申し込める入口があるなら、個人の消費者を前提にした表示が必要になる場面があります。申込みの入口の作りで判断します。
AI推進法ができたので、契約書に新しい条項を入れる必要がありますか。
AI推進法は、国の施策の基本理念や活用事業者の責務などを定める法律で、契約書や規約に書く条項を直接定めるものではありません。法令や指針の位置づけは、条文と公表されている資料の原文で確認が必要です。契約書への反映の考え方は、AI法・指針のページで整理しています。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、サービスの仕組みや契約の内容によって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 個人情報保護委員会 / 消費者庁 / 経済産業省 / 総務省 / 内閣府