AIサービスの規約、個人向けと法人向けの違い:責任の上限・返金・自動更新

個人にも法人にも同じAI機能を売るとき、規約を一本にしたくなります。しかし、申込者が消費者なら消費者契約法の規律がかかり、同じ条項でも有効かどうかの見られ方が変わります。免責、責任の上限、返金、日割り、自動更新、無料プラン、誤出力の免責を、個人向けと法人向けの差で整理します。

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責任の上限条項に、故意・重大な過失の場合は適用しない旨が書かれていないと、個人が申し込んだ場面で、条項全体が無効と主張されるおそれがあります。

このページの要点

  • 「法人専用」と書いても、消費者かどうかは申込者の実態で決まる。申込みの入口を分け、事業者の確認項目を置く。
  • 責任の上限は、上限条項の中に故意・重大な過失を除く旨を書く。全部免責の書き方は、個人向けでは無効とされる類型に当たる。
  • 返金なし・日割りなし・自動更新・遅延損害金は、個人向けでは消費者契約法9条・10条・8条の2の点検が要る。最終確認画面の表示と規約を一致させる。
  • 無料プランも消費者契約になり得る。定額の上限にして、有料への移行を最終確認画面で表示する。

結論:同じAI機能でも、申込者が消費者かどうかで、使える条項が変わる

個人にも法人にも同じAI機能を売るとき、規約を一本にしたくなります。しかし、申込者が個人の消費者なら消費者契約法の規律がかかり、事業者なら主として民法の枠で当事者の合意が尊重されます。同じ条項でも、有効かどうかの見られ方が違います。このページは、免責、責任の上限、返金、日割り、自動更新、無料プランの責任、誤出力の免責という七つの条項について、個人向けと法人向けの差を整理します。

  • 「法人専用」と書いても、申込者が消費者かどうかは実態で決まる。個人事業主や副業の個人が申し込める入口があるなら、個人にも通用する書き方を前提にする。
  • 責任の上限は、故意や重大な過失の場合は適用しない書き方にする。消費者契約では、責任の全部を免除する条項は無効で、一部を免除する条項も、軽い過失にだけ適用されることを明らかにしていなければ無効になる。
  • 前払い・返金なし・日割りなし・自動更新は、事業者向けでは通常の料金体系でも、個人向けでは消費者契約法9条・10条・8条の2の点検が要る。
  • 無料プランやトライアルでも、申込者が消費者なら消費者契約法の規律は及ぶ。責任の上限を定額にするときも、全部免責の書き方は避ける。
  • AIの誤出力に関する免責は、個人向けは機能の説明と広告との整合、法人向けは利用者の確認体制とあわせて書く。

全体の書類構成は全体像のページで整理しています。ここでは、条項ごとの差分に絞ります。入力データや会話の相手の個人情報に関する条項は録音・通話AIのページ、利用者から損害の申出を受けたときの対応はトラブル・FAQのページで扱います。

「法人専用」と書いても、消費者との線は申込者の実態で決まる

消費者契約法2条1項は、消費者を「個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)」と定め、同条2項は、事業者を「法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」と定めています。同条3項は、消費者と事業者の間で結ばれる契約を消費者契約としています。つまり、契約書に何と書いてあるかではなく、契約を結ぶ個人が事業として、または事業のために結んでいるかで、線が引かれます。

AIサービスでは、この線上に立つ申込者が少なくありません。屋号で活動する個人事業主、副業として使う会社員、法人のサービスを個人名義のカードで契約する担当者などです。個人が学習や趣味のために使うなら消費者ですし、事業のために使うなら事業者です。同じ画面から、両方の人が申し込むことがあります。

そのため、「法人専用」「事業者のみ利用可」と書くだけで、消費者契約法を考えなくてよいとは言えません。実際に消費者が申し込めてしまう入口があり、運用でそれを止めていないなら、消費者契約として評価される可能性を前提に、条項を設計します。

条文例申込者が事業者であることの表明(条文例)

  1. 本サービスの利用の申込みをする者は、事業として、または事業のために本サービスを利用するものであり、消費者契約法2条1項に定める消費者に該当しないことを表明し、保証する。
  2. 前項の表明に反して、申込者が消費者に該当することが判明した場合、当社は、申込者の同意を得て、個人向けの利用条件に基づく契約へ切り替えることができる。切り替えに同意しない申込者に対しては、当社は、将来に向かって契約を解約することができる。

表明を取っても、消費者かどうかは実態で判断されるため、表明が法的な線を決めるわけではありません。ただし、事業者向けのつもりで契約している事情を示す材料の一つにはなり得ます。表明に反する申込者の取扱い(個人向けの条件へ切り替えるのか、解約するのか)まで決めておくと、運用で迷いません。

確認の問いと理由申込みの入口を設計するときの問い

  1. 個人向けのプランと法人向けのプランを、申込みの入口から分けているか。

    入口が一つだと、法人向けの条件で個人が申し込む。入口を分けると、どの条項がどの申込者に適用されるかが明確になる。

  2. 法人向けのプランの申込みで、法人名や事業の確認を求めているか。

    確認の項目があると、事業者向けの契約であるという事情を後から示しやすい。個人事業主を排除するのか受け入れるのかも、ここで決まる。

  3. 個人事業主が申し込んだ場合に、どちらの条件を適用するか決めているか。

    個人事業主は事業者に当たるが、運用上は個人向けの条件に寄せた方が分かりやすい場合もある。どちらにするかを規約に書く。

  4. 支払方法で、申込者の属性を推測していないか。

    法人名義でも個人のカードで支払う例はある。支払方法だけでは線を引けない。

責任の上限:型の違いと、故意・重大な過失の扱い

AIサービスの規約の多くには、提供者の損害賠償責任に上限を置く条項があります。上限の置き方には型があります。

責任上限の型と、申込者ごとの見られ方

型書き方個人(消費者)向けでの見方法人向けでの見方
支払額の一定期間分直近の○か月に利用者が支払った料金の合計額を上限とする。故意・重大な過失には適用しない旨が明記されていないと、無効とされるおそれがある(8条1項2号・3項)。一般的な型。故意・重大な過失を除く書き方が通常。期間の長さは交渉の対象になる。
契約全体の対価契約期間の料金の総額を上限とする。同上。長期契約では上限が高くなる。大口の法人が求めやすい。上限が高いため、提供者側の引受けの可否を確認する。
支払額と定額の高い方直近の○か月の支払額と、○円のいずれか高い方を上限とする。同上。支払額が小さい契約でも一定の上限が確保される。
無償利用の定額無償で利用する者に対しては、上限を○円とする。全部免責ではなく定額の上限にしておく。故意・重大な過失の除外は同じ。無償の法人にも使われる。対価がない分、上限が低くなる点を明記する。
上限なし上限を置かない、または個別に協議する。全部免責ではないため問題は少ないが、提供者の負担が大きい。個別契約で調整する型。

消費者契約法8条1項は、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項(1号)、故意または重大な過失による債務不履行の責任の一部を免除する条項(2号)、同じく不法行為について全部を免除する条項(3号)と、故意または重大な過失による不法行為の責任の一部を免除する条項(4号)を、無効としています。「責任の有無を決定する権限を事業者に付与する条項」も同様です。たとえば「当社が責任を認めた場合に限り賠償する」といった書き方は、これに当たり得ます。

さらに、同条3項は、故意または重大な過失によらない債務不履行などの責任の一部を免除する条項で、重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないものを、無効としています。上限条項は責任の一部を免除する条項ですから、個人向けに使うなら、故意または重大な過失があるときは適用しない旨を明記することが必要になります。これが書かれていない上限条項は、故意・重大な過失の場面に限らず、条項全体が無効とされるおそれがあります。

法人向けの契約には消費者契約法8条の規律はかかりませんが、実務では同じ書き方が標準です。故意や重大な過失があるときにまで責任を限定する条項は、法人間でも、公序良俗(民法90条)や信義則(同法1条2項)の観点から効力が争われ得るためです。個人向けと法人向けで条項を分けるより、故意・重大な過失の除外を共通に置いた方が、規約の整合も保てます。

条文例責任上限の条文例(個人向け・法人向け共通で使える形)

  1. 当社は、本サービスに関して、債務不履行または不法行為に基づき利用者に対して損害賠償責任を負う場合、当社に故意または重大な過失があるときを除き、利用者に現実に生じた直接かつ通常の損害に限り、損害の原因となった事由が生じた月の前○か月間に利用者が当社に支払った利用料金の合計額を上限として賠償する。
  2. 前項の規定は、当社の代表者またはその使用する者に故意または重大な過失がある場合には適用しない。
  3. 利用者が無償で本サービスを利用している場合、第1項の「利用料金の合計額」は「○円」と読み替える。

「故意又は重大な過失があるときを除き」と書く位置は、上限条項の中です。別の条に書くだけでは、上限条項が重過失にも及ぶように読まれるおそれがあります。金額・月数は伏せ字にしています。

上限の基準になる「支払額」の取り方にも、決めておくことがあります。月額払いなら、利用開始の直後に問題が起きると、直近の支払額が小さくなります。年額の一括払いなら、同じ問題でも上限が大きくなります。複数のプランや追加料金を併用している場合、どの料金を合算するのかも、書かないと読み手によって分かれます。基準にするのは、損害の原因となった事由が生じた時点から遡る期間なのか、請求の時点から遡る期間なのか。有料のサービスの一部だけに問題があったとき、そのサービスの料金だけを基準にするのか。こうした点を曖昧にしたままだと、上限という条項の意味そのものが争いの種になります。

個人向けで上限を置くときは、もう一つ注意があります。上限を下回る金額で足りるように見える書き方でも、利用者の側から見て、現実に生じた損害のうち提供者の過失で生じた部分を、説明なしに大きく削る形になっていないかを見ます。上限そのものが直ちに無効になるわけではありませんが、10条の点検に引っかかる余地はあるため、上限の水準と、サービスの性質(日常の趣味の利用か、事業の中核に使う利用か)が釣り合っているかを、作る側で確認しておくことが望まれます。

前払い・返金なし・日割りなし・自動更新を、個人向けに使うとき

AIサービスの料金条項には、月額または年額の前払い、中途解約時の返金なし、月の途中の開始・終了で日割りをしない、解約しない限りの自動更新が並ぶことが多くあります。事業者向けでは通常の料金体系ですが、個人が申し込む場合は、それぞれ点検の観点が変わります。

料金条項の四つの定めと、個人向けでの点検

定め個人向けでの点検関係する条文整えた書き方の方向
返金なし解約や契約解除のときに支払済みの料金を一切返さない定め。解除に伴う違約金に当たるか、料金体系の一部かは書き方と実態で見られる。提供者の債務不履行による解除の場面まで返金しない書き方は特に問題。消費者契約法9条1号、8条の2、10条利用者の都合による解約は返金しない旨と、提供者の責めに帰すべき事由による場合の扱いを分けて書く。
日割りなし月の途中で解約しても、その月の料金は全額かかる定め。料金体系として分かりやすく表示されていれば、通常は問題になりにくい。消費者契約法10条、特定商取引法11条5号解約の効力が生じる時点と、料金の計算期間を、申込みの画面と規約で一致させる。
自動更新解約しない限り更新される定め。消費者の不作為を意思表示とみなす条項は、10条が例示している類型で、解約方法や期限の設計が問われる。消費者契約法10条、特定商取引法12条の6更新の条件、解約期限、解約方法を申込みの最終画面に表示し、更新前の通知を置く。
遅延損害金支払の遅れに対する損害金の割合。年14.6%を超える部分は、個人向けでは無効になる。消費者契約法9条2号個人向けは年14.6%以内、法人向けは別の率を置くなら申込者ごとに分ける。

消費者契約法10条は、消費者の不作為をもって新たな契約の申込みや承諾の意思表示をしたものとみなす条項など、任意規定の適用による場合に比べて消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項で、民法1条2項の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものを、無効としています。自動更新の条項そのものが無効になるわけではありませんが、解約の期限を満了日の相当前に置く、解約の手続を分かりにくくする、更新を知らせない、といった事情が重なると、この点検に引っかかります。

また、特定商取引法12条の6は、通信販売で申込みを受ける最終確認の画面に、役務の分量や、対価、支払の時期と方法、役務の提供時期、申込みの撤回・解除に関する事項などを表示することを求めています。更新の条件は、規約を読まないと分からない状態にせず、申込みの画面で確認できるようにしておく必要があります。

書き方の例(一般的な例) 料金条項の書き方

返金

よくある書き方「理由の如何を問わず、支払済みの利用料金は返金しない。」
整えた書き方「利用者の都合による解約・解除の場合、支払済みの利用料金は返金しない。ただし、当社の責めに帰すべき事由によりサービスが提供されなかった期間については、当該期間に対応する利用料金を返金する。」

理由提供者側の債務不履行まで返金しない書き方は、8条の2・10条の点検に引っかかりやすい。分けて書くと、返金なしの定めを残しやすい。

自動更新

よくある書き方「利用者が解約の手続をしない限り、同一条件で更新される。」
整えた書き方「契約期間の満了日の○日前までに、所定の方法で解約の手続をしない限り、同一条件で更新される。当社は、更新の○日前までに、更新される旨と解約の方法を通知する。」

理由更新を知らせる仕組みがあると、不作為をもって意思表示とみなす点の不意打ち性が薄まる。申込みの最終画面の表示と整合させる。

無料プラン・トライアルの責任と、有料への移行

無料で提供する期間やプランでも、申込者が消費者なら、消費者契約法の規律は及びます。同法2条3項は、消費者契約を、消費者と事業者の間で締結される契約とだけ定めており、有償か無償かで区別していないためです。無償だから責任を一切負わない、という書き方は、8条1項1号(債務不履行による責任の全部免除)の点検にかかります。

無償利用の責任は、一定の金額を上限とする定額の型にするのが一般的です。有料の場合の「支払額」を基準にできないため、「○円」と置く形です。金額の水準は事業者が決めることですが、損害に比べて極端に低い額にすると、民法1条2項や消費者契約法10条の観点から問題とされる余地があります。故意・重大な過失を除く書き方は、有料と同じです。

無料から有料に移る場面では、別の論点が出ます。トライアルの期間が終わると自動で有料に移る設計なら、申込みの最終確認画面で、有料に移ること、移行後の対価、解約期限を表示する必要があります(特定商取引法12条の6)。トライアル中に利用者が入力したデータをどうするか、解約時にいつまで保存するかも、有料と別に決めます。課金の単位や無料枠の消費は課金設計のページで扱います。

確認の問いと理由無料プランを設計するときの問い

  1. 無料のプランを、有料のプランと同じ規約で提供するのか。

    同じ規約なら、無償の場合の読み替え条項が要る。別の規約にすると、更新の手間が増える。

  2. 無料の利用者の入力データを、品質向上に使うのか。

    対価の代わりに入力を使う設計なら、その旨を申込みの画面で伝える。有料との違いが、利用者に分かるようにしておく。

  3. トライアルから有料への移行は、自動か、本人の操作か。

    自動なら、最終確認画面の表示と、期限前の通知が要る。本人の操作なら、移行を求める画面の文言を点検する。

AIの誤出力に関する免責:個人向けと法人向けの差

生成AIは、事実と異なる内容をもっともらしく返すことがあります。そのため、AIサービスの規約には「出力の正確性を保証しない」「最終的な判断は利用者が行う」という免責がほぼ必ず置かれます。この免責は、個人向けと法人向けで求められる中身が違います。

個人向けでは、「保証しない」と書くだけでなく、AIの出力が誤ることがある性質を、機能の説明として利用者に伝えることが重要です。免責の条項で責任を逃れようとする書き方より、サービスの限界を事前に正しく説明する書き方の方が、契約の内容として有効になりやすいためです。広告との整合も要ります。景品表示法5条は、品質や内容について実際より著しく優良であると一般消費者に示す表示を禁じています。広告で「必ず正確」「専門家と同等」と示しておきながら、規約で正確性を保証しないと書いても、広告の表示が問題になる場面があります。

法人向けでは、利用者が業務の中で出力を使う前提に立ちます。出力を鵜呑みにせず、利用者が自らの責任で検証してから使うこと、重要な意思決定には人の確認を入れることを、規約か提供契約に書きます。同時に、提供者が保証する範囲(稼働の水準、機密の保持、基本機能の提供など)と、保証しない範囲(出力の正確性・完全性・特定目的への適合性)を分けて書くと、免責の範囲が明確になります。

出力の内容が利用者の生活や健康に近いサービスでは、一般的な免責の書き方だけでは足りません。悩みや健康の相談に応じる対話型のサービスは、相談型AIのページで、医療ではないことの書き方や緊急時の扱いとあわせて整理しています。外部のAIが返す内容を組み込んでいるサービスなら、出力が外部の都合で変わることも、外部AI依存のページのとおり、免責と別に利用者へ伝えておきます。

書き方の例(一般的な例) 誤出力の免責の書き方

個人向け

よくある書き方「本サービスの出力について、当社は一切責任を負わない。」
整えた書き方「本サービスの出力は、AIが自動的に生成するもので、事実と異なる内容や不適切な内容を含むことがあります。重要な判断に用いる前に、利用者の責任で内容を確認してください。当社は、出力の正確性等を保証しませんが、当社に故意または重大な過失がある場合の責任は、この限りではありません。」

理由全部免責は8条1項の対象。誤出力があり得ることを機能の説明として伝え、重過失の場合を除く書き方にすると、条項として成り立ちやすい。

法人向け

よくある書き方「出力の正確性、完全性、有用性について、一切保証しない。」
整えた書き方「利用者は、出力を業務に用いる前に、自らの責任で内容を検証する。当社は、出力の正確性、完全性、有用性、特定目的への適合性を保証しないが、本サービスの稼働および機密の保持については、本契約の定めに従う。」

理由保証しない範囲だけを書くと、提供者が約束している内容まで曖昧になる。約束する範囲を並べて書くと、免責の線が明確になる。

条項差分表:同じAI機能を個人と法人に売り分けるときの整理

ここまでの内容を、条項ごとの差分に整理します。実際の条文は、サービスの内容や料金体系に合わせて調整が要りますが、どこを分け、どこを共通にするかの見取り図として使えます。

個人向けと法人向けの条項差分(一般的な整理)

条項個人向け法人向け(申込書あり)無料プラン
申込者の確認消費者として扱う前提で設計する。事業者である旨の表明と、確認の項目を置く。申込者の属性は有料と同じ入口で確認する。
誤出力の免責出力の性質を機能の説明として伝える。重過失は除く。利用者の検証と、保証する範囲を分けて書く。有料と同じ。免責の度合いを下げない。
責任の上限支払額の○か月分。軽い過失に限る旨を明記する。同左、または契約全体の対価。交渉の余地あり。定額(○円)。全部免責にしない。
返金・日割り利用者都合は返金なし、提供者の責めは返金。契約書で個別に定める。返金の問題は生じにくい。
更新と解約更新条件と解約期限を最終画面に表示。更新前に通知。申込書に更新条件。通知期限を個別に定める。有料への移行条件を表示。
遅延損害金年14.6%以内。個別に定める。原則として発生しない。
規約の変更効力発生時期を定めて周知する。個別の合意事項は変更の対象外とする。有料と同じ手順。
特商法の表記原則として必要。事業者のみの実態なら適用除外の余地。個人が申し込めるなら必要。

この表のとおり、すべての条項を二つに分ける必要はありません。免責、上限、規約変更のように、個人向けにも通用する書き方を共通にしておき、返金、更新、遅延損害金のように、個人向けで基準が違うものだけを分ける構成が、規約を整理しやすくします。法人向けの契約書に、個人向けの条件を載せる必要はありません。入口を分け、適用される規約を分けるのが、最も運用しやすい形です。

起きがちなこと:入口が一つで、条項が噛み合わない

個人と法人を同じ入口で受けるときの場面

個人事業主が法人向けプランで申し込む

起きがちなこと法人向けの条件(返金なし、日割りなし、自動更新)で契約したが、本人は個人で、解約時に争いになる。

先に決めておくこと法人向けプランの申込みで事業者の確認を取り、確認できない場合の扱いを規約に書く。

免責が重過失にも及ぶように読める

起きがちなこと責任の上限が、故意・重過失の場面に適用されるように読める。個人が申し込んでいた場合に、条項全体が無効と主張される。

先に決めておくこと上限条項の中に、故意・重大な過失を除く旨を入れる。

無料プランの利用者が損害を主張する

起きがちなこと無料なので責任を負わないと書いていたが、消費者契約として全部免責が無効とされる。

先に決めておくこと定額の上限にしておき、重過失の場合の除外を置く。

トライアルが自動で有料に移る

起きがちなこと最終画面に有料に移る旨が表示されておらず、請求を受けた利用者から返金を求められる。

先に決めておくこと最終確認画面で、移行後の対価と解約期限を表示する。

広告が規約より強い

起きがちなこと広告で「正確」と示し、規約で保証しないと書いて、食い違いが問題になる。

先に決めておくこと広告と規約を同じ水準の表現で揃え、公開前に照合する。

個人向けと法人向けを売り分ける前の確認リスト

  • 申込みの入口を個人向けと法人向けで分け、事業者かどうかの確認項目を置いた。
  • 責任の上限条項に、故意または重大な過失があるときは適用しない旨を入れた。
  • 全部免責の書き方(一切責任を負わない)が、どこにも残っていない。
  • 返金・更新・遅延損害金の条項を、個人向けの基準で点検した。
  • 無料プランの責任を定額にし、有料への移行を最終確認画面で表示している。
  • 広告の表現と、規約の誤出力の免責が、同じ水準になっている。

よくあるご質問

法人専用のサービスなら、消費者契約法は考えなくてよいですか。

消費者かどうかは、契約書の表記ではなく、申込者が事業として、または事業のために契約を結ぶかどうかで決まります(消費者契約法2条1項・2項)。個人事業主や副業の個人が申し込める入口があるなら、個人にも通用する書き方を前提にします。入口を分けて、事業者かどうかの確認項目を置くのが現実的です。

責任の上限は、何か月分にするのが一般的ですか。

期間に決まりはなく、サービスの性質と料金水準で決めます。有料サービスでは、直近の一定期間に支払った料金の合計額を上限にする型が多く、期間は取引ごとに異なります。消費者向けでは、期間の長さより、故意または重大な過失の場合は適用しない旨を明記しているかどうかが、条項の有効性を左右します(消費者契約法8条)。

中途解約でも返金しない定めは、個人に対して有効ですか。

一律に無効とは言えませんが、点検が要ります。解除に伴う違約金に当たるなら、平均的な損害を超える部分が無効になります(消費者契約法9条1号)。提供者の債務不履行による解除権を放棄させる条項は無効です(同法8条の2)。利用者の都合による解約と、提供者の責めによる場合を分けて書くと、返金なしの定めを残しやすくなります。

無料プランなら、責任は一切負わないと書いてもよいですか。

申込者が消費者の場合、債務不履行による責任の全部を免除する条項は無効です(消費者契約法8条1項1号)。同法は有償か無償かで区別していません。無償の場合は、定額の上限を置く型にして、故意または重大な過失の場合を除く書き方にするのが一般的です。

自動更新の条項は、個人向けには使えませんか。

使えますが、設計が問われます。消費者契約法10条は、消費者の不作為をもって新たな契約の申込みや承諾の意思表示をしたものとみなす条項を、消費者の利益を一方的に害するときは無効としています。更新の条件と解約方法を申込みの最終画面に表示し、更新の前に通知する仕組みを置くことで、不意打ちの要素を減らせます。

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